「社員を公平に評価したい」「何ができれば昇給なのかを示したい」。中小企業の経営者の方から、こうしたご相談をよくいただきます。一方で、評価制度づくりには次のような悩みがつきものです。

  • 評価項目を1から考えるのは時間も手間もかかる
  • 人事コンサルタントに依頼すると多額の費用がかかり、中小企業には負担が重い
  • 作ってはみたものの、自社の規模に合わず運用が続かない

そこで当事務所がおすすめしているのが、「すでにあるもの」を土台にして評価制度を作る方法です。その「すでにあるもの」が、厚生労働省が無料で公開している「職業能力評価基準」です。

職業能力評価基準とは

職業能力評価基準は、仕事をこなすために必要な「知識」と「技術・技能」に加えて、「成果につながる職務行動」を、業種別・職種別に整理した公的な基準です。平成14年度(2002年度)から業界団体などの協力を得て整備が進められ、現在は建設業・製造業からサービス業まで56業種の基準が公開されています。経理・人事・営業などの事務系職種のように、業種をまたいで使える基準もあります。

基準は主に次の3つの要素でできています。

  • 能力ユニット:仕事に必要な能力を、作業や活動のまとまりごとに区切ったもの
  • 必要な知識:その仕事をするうえで前提となる知識
  • 職務遂行のための基準:「この行動ができていれば、この能力がある」と判断するための具体的な行動の例

さらに、習熟度に応じてレベルが分けられており、新人から管理職まで、段階ごとに「何ができればよいか」が示されています。一部の業種では、キャリアの道筋を示す「キャリアマップ」や、そのまま評価に使える「職業能力評価シート」も用意されています。

使うメリット

1. ゼロから作らなくてよい

自社の業種の基準があれば、評価項目の骨組みをそのまま使えます。作成にかかる時間と費用を大きく減らせます。

2. 公的な基準なので、社員に説明しやすい

「社長が決めた基準」ではなく「厚生労働省が業界と一緒に作った基準」がもとになっているため、社員の納得感を得やすくなります。

3. 行動レベルまで具体的に書かれている

「積極性」「協調性」といったあいまいな項目ではなく、具体的な行動の例が示されているので、評価する人による判断のブレが少なくなります。

4. 無料で、何度でも使える

ライセンス料などはかかりません。制度の見直しのたびに、改めて参照できます。

ただし、そのままでは使いにくい

とても良くできた基準ですが、実際に中小企業で使おうとすると、次のような壁があります。

1. 文章が専門的で読みにくい

職業能力評価基準は、キャリアコンサルタントなど人材育成の専門家が使うことも想定して作られています。現場の管理職の方がそのまま読んで評価に使うには、言葉が難しく、量も多すぎます。

2. 中小企業の組織に合わない

基準は何段階ものレベルを想定していますが、中小企業では役職が2〜3段階ということも珍しくありません。そのまま当てはめると、使わない項目ばかりになってしまいます。

3. 自社の業種がない場合もある

56業種に当てはまらない場合は、近い業種の基準をもとに作り直す必要があります。

実際に当事務所がご支援した建設業のお客様でも、はじめは職業能力評価基準を参考にしましたが、「自社には難しすぎる」という結論になりました。最終的には、よりシンプルで分かりやすい基準を採用し、社員の意見も取り入れながら運用することにしています。「良い基準」と「自社で使える基準」は違うということです。

当事務所の評価制度づくり

当事務所では、職業能力評価基準などの公的な基準を土台にしながら、事業所様の実情に合わせて「翻訳」と「調整」を行い、無理なく運用できる評価制度をお作りします。

  1. 現状のヒアリング:仕事の内容、組織の階層、社員の人数、評価で何を実現したいか(育成・昇給・定着など)をお聞きします
  2. 土台となる基準の選定:職業能力評価基準の中から、自社の業種・職種に近いものを選びます
  3. 自社の言葉に置き換え:専門的な表現を、現場で使っている言葉に書き換えます
  4. 項目とレベルの絞り込み:自社の役職の数に合わせてレベルを整理し、本当に必要な項目だけを残します
  5. 評価シートと運用ルールの作成:評価シート、評価の時期、面談の進め方、昇給・賞与との結びつけ方まで決めます
  6. 運用のフォロー:実際に評価してみて分かった問題点を見直し、制度を育てていきます

「立派な制度」ではなく、「続けられる制度」を目指します。社会保険労務士として就業規則や賃金規程との整合性も合わせて確認しますので、評価制度だけが浮いてしまう心配もありません。

まずはお気軽にご相談ください

  • 社員を評価する基準がなく、昇給を感覚で決めている
  • 評価制度を入れたいが、何から始めればよいか分からない
  • 以前作った評価制度が使われなくなっている
  • 若手社員に「何ができれば一人前か」を示したい

こうしたお悩みをお持ちの事業所様は、宮下社会保険労務士・行政書士事務所までお気軽にご相談ください。社会保険労務士・中小企業診断士の視点から、貴社に合った評価制度づくりをお手伝いします。

▶ 職業能力評価基準について(厚生労働省)